まるしぶ流ハイスピードドライビング向上作戦



PART6

皆様のご期待にお応えしまして、久々の第6弾です。
表現がカタい点はご了承ください。


ある日ある時あるサーキットで、2人のドライバーが同じ車を使って、その車の性能と自分の能力を最大限に発揮して走っているとしましょう。

まず直線での走行ですが、ここではそれほど大きな差は出ないようです。

しかし、曲がり角に差しかかるとそれぞれのドライバーは異なる操作を始めました。

ハンドルやシフト操作の癖、過去の経験による考え方や、スピードに対する緊張感による精神状態など様々な理由によりそれぞれ異なる運転を行っています。

2人のドライバーは自分の能力を最大限に発揮して曲がり角を攻略しようとしますが、異なる運転をしていてもほぼ同じようなタイムで走ったかもしれないし大きな差が出たかもしれません・・

車の性能や自分の能力を最大限に発揮して走ろうとする時、曲がり角があるために様々な操作や知識が必要となってきます。

コースアウトしないように車の限界を探りながら、速く走らせることについ夢中になってしまうところが楽しいのですが、何はともかくとりあえず最初に行う操作はアクセルを戻しブレーキを踏むという操作、ブレーキングです。

今回はブレーキングについてのお話にしたいと思います。



ハイスピードドライビングでのブレーキングと言うと“強く短く”と言うイメージがあります。

しかし最も重視すべきは、そのコーナーを曲がれる適切なスピードへ微調整することなのですが、意外に忘れられがちです。

操作的にはブレーキペダルを踏みつけるだけというとても単純な操作ですが、実際にサーキットを走行するとそう簡単ではないことに気がつくはずです。

例えば、どこから踏み始めたらいいのか? どれぐらい強く? どこで終わらせる? シフトダウンが上手くいかない。曲がりながらのブレーキングが不安。いまいちスムーズにコーナーにアプローチ出来てない・・・等でしょうか。

自信を持って車の限界に挑戦し、タイムアップを狙おうとする時、何に気をつけたら良いか考えてみたいと思います。

その前にまず、何がブレーキングを難しくさせているのか、その一つ一つを挙げてみましょう。



@ただ単に直線で強いブレーキをかけて最短距離で止まる場合、タイヤのスリップ率何々%のロック寸前が良いと言われていますが、まずこれがどこまで正確に行えるでしょう?

A次に直線上に一つの目印を置いてそれをめがけて出来るだけ強いブレーキングで正しく止まれるか、または指定した速度まで減速できるか?(100km/hから30km/hへの減速のように)

B更にAに加えてシフトダウンの操作や、コーナーリングアプローチのためのライン取りや姿勢変化、ステアリング操作、タイヤのグリップの状況を意識する気持ちの余裕がどれだけ持てているか。

Cこれらのコントロールは加速やコーナリングを行っている時よりも、あまりにも短時間で過ぎ去っていく出来事なので、ゆっくり考えたり感じ取ったりする時間が非常に少ない。よって何が起こりえるのかがわかりにくい状態イコール = パニック状態になり易い。


以上の事だけを考えてもハイスピードコーナーリングにおける理想的なブレーキングがいかに難易度が高いか、想像に難しくないと思います。

プロと呼ばれるレベルでも、時として予選アタックや息をのむバトルにおいてタイムアップを狙うあまり、突っ込みすぎて逆にタイムを落としてしまうことがあります。

いわゆる“ ツッコミすぎ ”というのは、無計画的に速さを得たいという欲望に負けて無理なブレーキングをしてしまうために、コーナー進入車速のコントロールをおろそかにしてしまったり思っているラインを外したり、そして結果的にアクセルを開けるタイミングが遅くなったりしてしまうのですが、いつものようにやっぱり頭では分かっていてもついつい陥りがちです。

特にやる気が強い時や、もっと速さを得たいという欲望が強い時、“今日こそ自己ベストを叩き出すぞー!” という日ほどその悪循環へすっぽりとハマってしまう事があります。


ブレーキングは本当にタイムを短縮するための“ 最後のとりで ”ではありますが、ただブレーキを強く踏みつけるだけという単純な操作に反比例するかのように、その奥の深さや難易度は想像を絶するものがあります。


その一つの例として、特に耐久レースにおいての出来事ですが、ベストラップを刻むべくブレーキングを遅らせ、ロスを最小限に向きを変え、立ち上がり加速を重視した走行時と、ブレーキをいたわるために無理のないブレーキングで走行した時のタイム差がほとんど変わらない、という出来事は珍しい事ではありません。

これはブレーキングに余裕を持つ事でコーナーリングスピードが重視でき、よりスムーズな旋回で立ち上がり加速へ移るタイミングも若干早く出来るためと解釈しています。


この現象をスプリントレースに置き換えると、ブレーキングを誰よりも強く短く、にもかかわらず誰よりもコーナーリングを犠牲にする事なく、立ち上がり加速へ移るタイミングも早く出来るような走りを可能にすることで、それが速さの差となります。


これはフォーミュラカーレースで驚異的な速さを見せる外人ドライバーや、海外で活躍している日本人選手の速さの理由の一つともいえます。


彼らはこの難易度の高い個所でそのポテンシャルを発揮しているのです。



そこまでには達していない平凡な私たちにとって、もっとも有効と思われるブレーキングとは何でしょうか?




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―ブレーキング時のコツは―

やる気の強さとともに無理なハードブレーキングにTRYする事は、車の限界付近を知るためにも良いと思います。

しかしそれとは別に、まずは現在の自分の能力に見合ったブレーキングから始める事が最大のポイントではないかと思います。

必ずしも強いブレーキングを、常時必要とはしなくても良いのです。

気持ちに余裕が持てる範囲でのブレーキコントロールを行えば、そのコーナーへの進入時に理想と思えるラインやスピードを最優先することができます。

最も重視すべきは、そのコーナーを理想的に曲がれるであろう最適なスピードへ微調整することです。

これが確実に行えるようになってから、より強いブレーキングで制動距離を短くしていく事にTRYしていけば、どこまでブレーキングを遅らせると理想と思えるコーナーリングに乱れが起こるかが、上手くチェックできるはずです。


超限界ギリギリブレーキングにTRYしていくと、最も頭がパニックになりやすく、正確な判断すら行い難くなってしまいがちなので、この手順を理解する事でブレーキングの正否をクールに判断する事ができるようになります。


ストレートエンド以外のあまり強く長いブレーキングを必要としない個所では特に、スピードの微調整と姿勢変化のきっかけを重視したブレーキングを意識する事がとても有効です。


やる気満々なのにタイムがイマイチ、という時は思い出してみて下さい。



また、ブレーキングを開始するポイントの決め方、これも人それぞれなんですが、コース脇にハッキリとした目印を決めたり、コーナーの景色との距離感で決めたりしています。



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そしてある時はまた、曲がりながらのブレーキングや姿勢作りのためのブレーキングがよく分からないというご意見もよく耳にします。

コーナーに進入する時どれだけブレーキを残すのがベストなのか? 疑問はつきません。


その他、どの程度のアンダーやオーバーなら問題ないのか? コーナー脱出ではどの程度アクセルをワイドオープンできるのか? はたまた非日常的なスピードでコーナーリングする鈴鹿130Rはどのくらいのスピードで曲がれるのか? ・・などの様々な疑問を自ら解決する方法があるとすれば・・・
(話は急に変わりましたが! )

それはタイヤの状態を出来るだけ正確に感じ取れるようになる事で全て解決の方向性が見えてきます。


フルブレーキングでの (前文参照)@ただ単に直線で強いブレーキをかけて最短距離で止まる場合、タイヤのスリップ率何々%のロック寸前が良いと言われていますが ・・・・・というのをご存知なかたは多いと思いますが、それと同じで直線以外の全ての個所でこれを応用するだけのことなのです。  ※タイヤの縦と横の特性はこの際無視です


車という1t〜1.5tもの重量物体が自然のエネルギーに反して加速・制動・旋回しようとする時、路面との接点は4本のタイヤしかなく、このタイヤ4本というものを深く理解することでありとあらゆる全ての疑問は解決の方向へ進む事ができます。


あるレベルになってくると、皆異なる運転をしていてもほぼ同じようなタイムで走れるのはナゼか? この訳も見えてきます。


タイヤは急に滑らない。


それではまた次回!





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