まるしぶ流ハイスピードドライビングのコツ
PART2
ライン取りのお話
ライン取りについては雑誌などでも、M選手はFFでこういうライン、T選手はFRでこういうラインなんていう記事があります。 しかしながら、これらは凄く微妙なレベルで語られていることが多く、慣れないコースへ実際にコースインしてみたところ、さながら新宿地下街に降りて先日テレビで紹介していたチョッと気になる店を探す事と同じくらい、M選手やT選手のラインの違いなど、どこにも見当たらない事に気がつく事でしょう。 コース上に出たとたん、先程の選手の話は忘れる必要に迫られます。 結局新宿でも適当な店で済ましてしまうのでした。
これらはなんとなくの目安にはなっても、自分のライン取りや走りを決定付けていく材料にはなりにくいものです。 どう自分で決定付けていくか? 慣れないコーナーで、どうやってライン取りを決めていくか? チョッと気になる店も自分の足で探し、たどり着けば、次に行く時は道に迷う事も少なくなる事と思います。
1. 普通のコース図 2. 大まかな景色 3. とりあえずのアウトインアウト 4. 後半部分を決めていく 5. それに対する進入を決めていく 6. 全体のバランスを取っていく 7. 更に微調整 8. 最終的にポイントを決める
ここまでの構築方法で、自分なりにベストと思えるライン取りの考え方や行っている事が、果たして正しいのか間違っているのかは、ラップタイムと車の安定度が教えてくれるでしょう。 車が安定しているにもかかわらず、周回を重ねる毎にラップタイムが短縮していく事があります。 さらに、実際のハイスピードドライビングでは、様々な現象の中でのコントロールを行う事になりますので、誰よりも速く走ることが出来るラインとなると当然複雑な話になってきます。 その他、ラインを決める上でのヒントとしては・・・ ツーリングカーの場合、車重が1〜1.5トンもあり、例えば減速しながらのターンインでは、フロントアウト側のタイヤにかかる負担はかなりのプレッシャーだと言う事が理解できます。 普段は4本なのにその時は正味1本で頑張らないといけない訳です。 操作を行う時、重さが1〜1.5トンもある重量物を運んでいる、と言う意識を持つと、スムーズに走る事がなぜタイムに影響するのか、という事が見えてきます。 同じように急激なライン取りの変更も間違った操作といえます。 限界付近でコーナーリングしている車は、急にラインを変えられない、ハズなのです。 そして、車が行きたがっている方向を妨げないよう、向きを変えてやるという意識を持ってみましょう。 分かりやすく言えば、急なステア操作はほどほどに、と言う事です。 更に付け加えるなら、急なステア操作はミスした時のリカバリーのために備えておくものと考えるべきでしょう。 さらに、進入ポイントでラインを外しやすい現象として、ステア操作を行ってから実際に車が向きを変え始める時間の差、タイムラグがあり、この大きさは車両の特性やセッティング、またアクセルを開けているか閉じているかによっても違ってきます。 ステアリングの初期応答性、等と表現したりしますが、自分なりのターンインポイントを決めていても、車両を乗り換えたり、セッティングやタイヤを変更した時、この応答性が変わり、走りがギクシャクする原因となることがあります。 いずれにしろ、ターンインポイントの少し手前からそれを見計らってステア操作を行う必要があります。 また、ラップタイムはコーナー立ち上がりがとても大切だと良く言われています。 スムーズに早くアクセルを開け始め、速いスピードでコーナーを抜ける事により、次のコーナーまでのストレート区間を速く駆け抜けよう、という事なのです。(そんなこたぁ、もう知ってるって?) スムーズに速く立ち上がる事で、安全マージンを取りつつタイムを短縮していく事が出来るという訳です。 よって、ライン取りを決めていく時に、後半部分を重視して決めていくのはこういう理由からであり、ブレーキングを奥にずらしていく話は、ずーっと後の事になる訳です。 また、安全マージンを取りつつ速く走れるようになる事の重要性は、更なるリスキーなチャレンジを行い、更にラップタイムを短縮することを可能にするため、ということで理解できないでしょうか? そしてもうひとつは、コース幅を最大限に利用しているかという事です。 誰よりもコース幅を広く取ることで、同じコースでもコーナーのRを大きくして速度を稼ぐと言う考え方で、基本中の基本です。 ただし、コーナーのレイアウトによっては当てはまらない場合も多々あります。 また、立ち上がりの縁石が波打っている場合等、トラクションの有効度を考えると、アウトいっぱいまで使ってその縁石を通るべきか避けるべきなのか、ドライバーの判断の分かれるところです。 このような事を色々と考えていくと、たかがライン取りと、つい思いがちなのですが実に奥が深く、コースサイドでドライバーのライン取りを見れば、そのレベルの判断は一目瞭然であり、また、ラップタイムを削っていく上で、かなり重要な項目である事が分かります。 コース上のポイントを自分なりに決めて走る事の重要性。 そのテクの延長線上には、例えば年に一回しか開催されない十勝24耐久レースでの夜の濃霧の中、ほとんど何も見えないような条件下でも、ほんのわずかに見える入り口と出口の目印さえ自分のものにしてしまえば、昼間と同じようにコース幅を目一杯使って、バカみたいなペースで走れたりすることも可能になる訳です。 しかしこれは、何か特別な才能が要求されていると言うよりも、その辺りのコツをつかんでいるだけの事なのかも知れません。 どんな人でも初めて行く新宿地下街で、迷わず目的の店にたどり着けたわけではないと思うのです・・・ 次回、ライン取り続編 複合コーナーのライン取りのコツ
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