まるしぶ流ドラテク向上方法のお話


走行シミュレーション・パート1

鈴鹿国際レーシングコースの1〜2コーナーにおいて、アクセル全開でストレートを駆け下り、1コーナーは50M看板を横目で確認しブレーキング開始、同時に素早く確実にシフトダウン。
コーナーへ進入しながらのブレーキングになるため、バランスを崩さないよう気をつけ横GとブレーキングGをコントロール。
狙いどおりC.Pを捕らえ、1コーナーから2コーナーへ向けアウトへはらみつつも更にイン側へステアリングを切り込み、1コーナー同様進入のためのステア操作をしながら、適度なブレーキングを行い、ターンイン開始。
C.Pを外さないように速いスピードを保ちながらいつもより少し早めのアクセルON。
コーナー出口アウト側のゼブラを確認しリアタイヤと相談しながら更に踏み込んでいく・・・・・・・・・・・・・・・


ここのコーナーはこう攻めろ!とか、ライン取りやタイヤのスリップアングル等のスポーツ走行HOW TO論をたくさんの本や情報から得て、実際にコース上で走りこめば、その必要性が理解でき即上達する・・・ハズなのですがコースに出ると忘れているし、走行中何が起こっていたのかもはっきりと思い出せない、または書いてあるとおりにやっているけどタイムアップしない。

頭では分かっているけどついアンダーを出してしまう・・・

何てことはよくある話では?



なぜ、わかりきった事さえ、走り出したらまた同じ事を繰り返してしまうのでしょうか?




また、サーキット走行で良く耳にする“どこからブレーキ?”“C.Pどの辺?”的な会話はピットでの楽しい会話としては良いのですが、実際にコース上へ出た時に、タイムアップにつながった事は少ないのではないでしょうか?


タイムアップを第一に考えた場合、ブレーキング開始地点は、与えられた条件の中での最も奥が好ましく、C.Pは立ち上がりを有利にするための最適な場所であるべきで、それらのポイントをどういう理由でどのタイミングで決めて実行するかは各ドライバーによって違って当然であり、また、1秒間に約56mも進むサーキット走行において、どのタイミングでどのポイントを目印にどういう考えでどうアクションを起こすか、と言う事は千差万別・十人十色だと考えられます。


それをどう考え、決定し、組み立てていくかがその人のドラテクでもあり、サーキット走行の奥の深さや面白さのひとつだと思います。

わかりきった事ですが、それら全ての決定権は、ハンドルを預けられたドライバーが持っているのです。


一つ一つの課題を、十分納得して得たテクニックを駆使すれば、走りに力強さを与えるだけでなく、安全に速く走ることが可能になり、そして車やコースを自分なりに攻略する面白さを発見する事でしょう!



どうすれば良いのか? ちょっと視点を変えて考えてみました。


コース上で起こっているさまざまな出来事は、車だけに起こっているのではなく、それをコントロールしているドライバー自身にも様々なことが起こっています。

ドライバーという機能をどう有効に使うか?
そういう点に重点をおいて考えて見ました。




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さて、実際にコースを走行する上で、まずは冷静さを保ち、思考力をキープする事が重要なポイントだと考えられます。

冷静に景色や出来事を見て正確な情報を得る事が重要です。

また冷静さを保つ事が出来れば安全性にも繋がります。

しかし、時には何も考えずガムシャラに。

この2つをはっきりと分けると良いと思います。

冷静になれれば考える事が出来る。
ガムシャラに自分の走りに集中して走れば体で憶える。
という事です。

自分が行った事や起きた事を冷静に判断し、全てをコントロール下に置くことができれば、経験から様々な情報を得てそれを次の周に生かし、ラップタイムを徐々に削っていく事が出来ます。

さらに、様々な知識を得、考え、試行錯誤を繰り返し、効率の良い練習を行えば、家庭や仕事や一身上の都合等でわずか月1回位のサーキット走行でも、走る度にグングン上達出来る・・・と良いですよね?!

走るたびに上達感を得る事が出来れば、楽しさも倍増する事でしょう! 

決して不可能な事ではないと思います。


しかし、実際にコース上に出ると、そう思うようには行かない事が多いと思います。
そこで、困難にしている原因と対策を考えてみたいと思います。



いつもより速いスピードでコーナーリングしようとする時、私達の頭の中では何が気になっているのでしょうか?




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冷静に走ることを困難にしている原因は何か?


1:予測しない出来事が起こる

例えば、目線が近すぎて次のコーナーがどこへ向かっているのか、気づくのが遅れてつい慌て気味になる。
急にタイヤがグリップを失い慌てた。
行き当たりばったりの思いつきで操作しているため、次に何が起こるかヒヤヒヤする。
自分は速い方だと思っていたら、ものすごい勢いで抜かれた。
予想していたタイムが出ていなくて焦りだした。


2:注意力の配分の間違い。

タイムアップが目的でブレーキングを奥に取る事だけを考えてすぎていたため、その後の出来事に遅れをとり慌てた。
前の車に離されまいと、その事だけに集中していたので、どういう操作をしていたか等、他の出来事はあまり憶えていない。


3:セルフコントロールがうまく行かない

タイムを狙うあまり、力が入りすぎて冷静さを失った。
今日はなんだか乗れていない、調子が出ないと知りながらのアタック中、スピードに目がついていかず、頭が真っ白になった。




対策方法の例

目線を常に先送りし、これから向かう場所を定め、起こるであろう事を予測する。
また、“かもしれない”運転で、起こる可能性の予測と備えを多少なりにしておく。
過去の経験データを確実に蓄積していく。
“ながら運転”で注意するパートを分散させる。
意図的にセルフコントロールを行う。



走行中のシミュレーション・パート2

みるみる近づく1コーナー。
目前のコーナー進入ポイントだけ注視するのでなく、自分がこれからどこへ向かって行こうとしているのか、一瞬目線を先送りし、コーナーの全体像を確認。
前の周より少し速いスピードでのトライだ。
ブレーキング開始ポイントを遅らせるので、その後のスピード調整が困難になるだろう。
タイヤがグリップを失いだすかもしれない。
よって修正舵の準備をしながらも、スピードが速めの分、進入スピードの調整とアクセルを開け始めるタイミングに更に注意する。
前の周ではタイムアッップを狙う余り、力が入りすぎてしまったことを十分理解しているのでこの周は冷静さにも気を配ろう。
全ては理想的な立ち上がり加速の事を考えての行動だ。
最高の走りが出来ているはずだが、後続のマシンとの距離が詰まっているのでこれでもまだ足りないのかもしれない。
焦ることはない。
むしろ自分のどこが遅いのか、比較する事が出来る。




これは、ハイスピードで走行中のドライバーが、予測と注意力の配分とセルフコントロールによって、冷静さを保ちながら何かを得る、ということを主にした例です。
良かったらイメージしてみて下さい。




また、走行前の準備に遅れ、慌ててコースインした時や、車のメンテナンス不足による不安なども、走行に集中できなくなる原因となるので気をつけたいところです。



ハイスピードコースでライン取りを決めていったり、新しく仕入れたテクニック論を試したりするにも、まずは冷静に走れる事が大切だと思います。



アグレッシブな車の動きの中にも、クールな思考が要求される。というお話でした。





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